IPOに申し込む際、様々な情報を調べた上でどのIPO銘柄に申し込むか検討する人は多いでしょう。
様々な情報をチェックする中で、「主幹事」や「幹事」といった言葉を目にしたことはありませんか?
主幹事や幹事と言われても、初心者にはいったい何のことなのかピンとこないのではないでしょうか。
また、IPOの情報を収集する中で「IPOは主幹事から申し込むと良い」と知り、不思議に思う人もいるでしょう。
そこで今回は、
「IPOの情報で目にする主幹事って何?」
「どうしてIPOは主幹事から申し込むといいの?」
「IPOの主幹事にはどんな会社があるの?」
などの疑問を抱く人にもわかるよう、IPOの主幹事や幹事について解説します。
IPOには独特の用語が出てきます。
用語解説を読むと意味は書いてありますが、意味がよく分からないのではないでしょうか。
それも無理はありません。
なぜなら、多くの人はIPOの業務に携わったことがないからです。
意味だけ知っても断片的な知識にとどまり、イメージがつかめないのです。
主幹事もIPOでよく出てくる言葉ですが、言葉を聞いたところでイメージが湧かない、という人は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、主幹事とはこれから新規上場する会社の上場のために様々なサポートをする会社のことです。
筆者は日々数億円の株をトレードしています。今回は証券会社やベンチャーキャピタルにいた時の経験を基に、主幹事についてできるだけ平易に説明しました。
また、証券会社はIPOでどのようなことを行っているのか、ということについてもできるだけ触れています。
この記事を読むことで断片的だったIPOの知識がつながり、全体像が把握できるのではないかと思います。
Contents
- 1 IPOでよく聞く「主幹事」とは?意味をわかりやすく解説
- 2 主幹事会社を引き受ける証券会社はプロ向け!初心者には不向き!
- 3 初心者におすすめのIPOに強い証券会社ランキング
- 4 IPO投資をするなら「セカンダリー投資」もおすすめ!なんと「無抽選で」IPO銘柄を取引できる!
- 5 まとめ
IPOでよく聞く「主幹事」とは?意味をわかりやすく解説
「IPOで当選するには主幹事がおすすめ!」…こんな文言を目にしたことはありませんか?
IPOで必ず目にする主幹事という言葉について、よく分からない人も多いのではないかと思います。
主幹事というのは、主幹事証券会社のことです。
主幹事証券会社とは、会社の上場にあたり中心的役割を担う幹事会社のことをいいます。
中心的役割を理解するために、まずは会社の新規上場がどのように行われているのか簡単に説明します。
上場のサポートをする幹事の役割
会社が自社の株式を公開する際、必要な諸手続きを上場会社自身が全て独自で行うわけではありません。
証券会社が会社と証券取引所との間に必ず入り、株や社債といった有価証券の募集や売出を行うのです。
さらに、財務局などの関係機関との折衷(せっちゅう)も証券会社が行います。
また、それにあたり必要となる書類作成についても証券会社がサポートします。
上場後の資金調達や投資家向けのIRなど、上場に際し必要なことの多くを手助けしてくれるのです。
このように、上場のサポートを行う証券会社を「幹事証券会社」といい、略して「幹事」と呼ばれています。
主幹事は幹事の中でも中心的な役割を果たす
上場に際し、通常、数社の証券会社が幹事として関与します。
その中で特に中心的な役割を果たす幹事のことを「主幹事証券会社」といいます。
なお、主幹事証券会社は「主幹事」と呼ばれることが多いです。
主幹事となった証券会社は、会社の上場準備の全てをサポートします。
そのため、幹事証券会社に比べて責任が重いのです。
また、日本では、主幹事証券会社の推薦がないと上場できない仕組みになっています。
主幹事にしてみれば、自社がその会社の上場を推薦した以上、上場後すぐに問題が起こるようでは困ります。
上場直後の不祥事発覚や下方修正等の問題が起きないよう、主幹事は上場準備会社を厳正に審査するのです。
その上で様々な助言や指導を行い、会社の上場に向けてサポートしていきます。
ここまで読んで「じゃあ、他の幹事証券会社は何をするの?」と思う人もいるのではないでしょうか?
そこで次に、そのことについて解説します。
主幹事証券会社と幹事証券会社には責任の重さ以外に何か違いはあるのでしょうか?
主幹事と幹事の違いは引受株数
「責任の重さ」以外の主幹事と幹事の大きな違いは何でしょうか?
それは、引受株数の多さです。
会社は上場にあたり、「〇株を売って欲しい」と主幹事に依頼します。
この時、主幹事は他の幹事にも販売を依頼するのです。
そして、主幹事が100万株、幹事は5万株ずつ…というような形で販売株数を決定します。
この販売株数のことを、IPOでは「引受株数」と言います。
主幹事は会社の上場にあたり、他の幹事よりも責任重大で多くの労力を割いています。
それに対するインセンティブという意味もあり、主幹事は幹事よりも引受株数が圧倒的に多いのです。
なお、幹事は引受幹事と呼ばれることもあります。
主幹事と引受幹事には、金融商品取引法上の違いもあります。
金融商品取引法では、主幹事は資本金30億円以上の証券会社と定められているのです。
一方、引受幹事については資本金5億円以上と定められています。
このように、主幹事と幹事には様々な違いがあります。
次に、主幹事会社でIPOを申し込んだ場合のメリットについて考えてみましょう。
主幹事会社のメリットはIPOの割当株数が多いこと
すでに解説したとおり、主幹事証券会社は責任の重い役割を果たすとあって、IPO株の割当数が多くなります。
これが主幹事証券会社のIPOにおける最大のメリットと言えます。
しかも、一口に多くなるとは言っても、ちょっとやそっとの「多くなる」ではありません。
例えば、今年9月に上場した「アミファ(7800)」という会社の割当数は下記のようになっています。
公募株式数…公募455,000株、売出500,000株(総計955,000株)
- 野村證券(主幹事)…859,500株
- みずほ証券…38,200株
- SBI証券…19,100株
- SMBC日興証券…19,100株
- 岡三証券…19,100株
この例から分かるとおり、主幹事である野村證券への割当株数が20倍以上と極めて多いことが判ります。
全体の90%が野村證券の割当となり、残りの10%が幹事会社への割当になっています。
この例だけが特別というわけではなく、他のIPOでも主幹事証券会社への割当は極めて大きいのが普通です。
IPOによりけりですが、概ね公募株式数の80%~90%以上が主幹事への割当になるケースが多いようです。
このように、IPOでは主幹事と幹事で割当数に大きな差があります。
それを踏まえた上で、次にIPOの申し込みについて考えてみましょう。
【IPOの鉄則】主幹事会社には必ず申し込もう!
IPOでは、主幹事証券会社に必ず申し込むのが鉄則です。
理由はここまで説明したとおり、幹事に比べて主幹事の割当株数がはるかに多いからです。
割当株数が多い分、当選確率も上がりやすくなります。
「じゃあ、幹事証券会社からは申し込まなくてもいいの?」と疑問を抱く人もいるかもしれません。
もちろん、幹事証券会社からもIPOは申し込んでください。
あくまでもメインは主幹事ですが、幹事からも申し込んで当選確率をできるだけ上げることが大切です。
このように、IPOの申し込みは主幹事から行うことが鉄則です。
そのため、主幹事証券会社の口座開設が必須となります。
ですが、口座開設をする以上、主幹事証券会社のIPO以外の使い勝手はどうなのかが気になる人もいるでしょう。
そこで、次に、主幹事になるような大手証券会社にはどのような会社があるのか見てみたいと思います。
主幹事会社を引き受ける証券会社はプロ向け!初心者には不向き!
結論からいうと、例えば、野村證券、大和証券、SMBC日興証券といった主幹事になるような大手証券会社は普段使いには不向きであると言えます。
というのも、このような大手証券会社は資産家に分配をする対面営業が中心で手数料が高いからです。
とはいえ、どこも今ではオンライントレードができるようにしていますので、ネット取引ももちろん可能です。
ですが、その場合も手数料はネット証券より高めです。
また、証券会社によっては口座管理手数料がかかるところもあります。
例えば野村證券の店舗(本店、支店)で証券口座を開設したとします。
その場合、オンライントレードで取引すると約定代金20万円以下で2,808円の手数料がかかります。
ネット証券と比べると手数料がだいぶ高いのが大手証券会社の特徴です。
ちなみに、野村證券ではオンライン専用支店も設けています。
そちらで口座開設すると、オンラインサービスでの取引は1注文の約定代金10万円までで150円となっています。
電話の場合は1注文の約定代金20万円までで1,954円です。
オンラインサービスは電話注文に比べてだいぶ割安ですが、それでもネット証券に比べるとやや高めです。
手数料面を考慮すると、初心者は主幹事証券会社をメイン口座にするのは得策ではないと言えます。
とはいえアナリストによる銘柄レポートなど情報量の多さは大手証券ならではです。
そのため、主幹事証券会社に関しては、IPOや普段の株式投資の情報収集に利用するのが最適です。
このように、主幹事によくなる大手証券会社は総じて手数料が高めで普段使いには向きません。
ですが、IPOの際には割当数が多い分、当選の確率も高くなります。
ただ、その際に少し考えなくてはならないことがあります。
それは、割当数の中から抽選に回す割合はいったいどれくらいなのか、ということです。
次に、このことについて説明します。
主幹事の実績が多い証券会社ランキングの上位は対面営業型が中心
主幹事になる大手証券会社では、割当数の大部分を大口顧客である資産家に配分します。
つまり、割当数が多くても、抽選に回ってくるのは一部なのです。
そう聞くと、「主幹事から申し込むメリットはあまりないのでは?」と思うかもしれません。
ですが、ちょっと待ってください。
実はそういうわけでもないのです。
主幹事となる大手証券会社は、どこも割当株数の最低10%はネットによる抽選に回しています。
元々の割当株数が非常に多いわけですから、そのうちの10%とはいっても、幹事の割当数より多くなります。
先ほどのアミファの例を見てみましょう。
幹事で一番多いみずほ証券の割当数は38,200株です。
そして、それ以外の幹事証券会社はその半分の19,100株が割当数となっています。
一方、主幹事の野村証券の割当数は859,500株ですので、その10%は85,950株ということになります。
この例から判るように、割当数の10%とはいっても、幹事の割当数よりもかなり多い株数が抽選に回されます。
そのため、IPOに当選する確率を上げるためには、主幹事証券会社に申し込むことが鉄則になるわけです。
さて、ここで主幹事証券によくなる証券会社について見てみましょう。
下表が2018年に主幹事となった会社の一覧です。
順位 | 社名 | 主幹事となった社数(2018年) | 初心者向き |
---|---|---|---|
1 | 野村證券 | 23社 | ★☆☆☆☆ |
2 | みずほ証券 | 21社 | ★☆☆☆☆ |
3 | SMBC日興証券 | 19社 | ★☆☆☆☆ |
4 | 大和証券 | 11社 | ★☆☆☆☆ |
5 | SBI証券 | 10社 | ★★★★★ |
※TOKYO PRO Market上場企業は除く
1位から4位までは、どこも一度は名前を耳にしたことのある大手証券会社です。
三大証券である野村證券、SMBC日興証券、大和証券に、みずほフィナンシャルグループのみずほ証券がランクインしています。
三大証券はいずれも歴史が古く、IPOの主幹事実績も多いです。
みずほ証券は近年IPOに力を入れており、昨年は1位の野村證券の23社にあと2社というところに迫っています。
このランキングの中で異質なのが5位のSBI証券です。
ネット証券最大手のSBI証券は、大手証券会社に比べても遜色ない数のIPO主幹事を担当しています。
このランキングの中で、最も初心者向きなのはSBI証券ではないでしょうか。
なぜなら、手数料の安いネット証券だからです。
また、同社の取引ツールや情報ツールは初心者にも扱いやすいです。
バランスの良いサービスを提供しており、最初の一歩として口座開設するのにも、IPO投資にもおすすめです。
それでは次に、初心者はどのような証券会社でIPOを取引すれば良いか、ということについて説明します。
初心者におすすめのIPOに強い証券会社ランキング
まずは、IPO投資を行う際、初心者は何をチェックして申し込む証券会社を選ぶべきかということを説明します。
IPO初心者が選ぶべき証券会社のポイントは4個
IPO初心者が当選確率を上げたいなら、下記のポイント4つを押さえておきましょう。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
総合的におすすめの証券会社は「初心者におすすめのIPOに強い証券会社ランキング」で紹介します。
ポイント1:IPO株の割り当てが大きい主幹事会社で申し込んで当選確率UPを狙う!
こちらについてはすでに説明したとおりです。
主幹事は幹事に比べて割当数が非常に多く、公募株数の80%~90%以上が割り当てられます。
実際に抽選に回るのは割当数の10%程度です。
それでも、元々の割当数が多いことから、幹事よりも抽選に回る数は大きくなります。
IPOの当選確率を上げたいのであれば、まずは主幹事証券会社に申し込むところから始めましょう。
なお、すでに紹介したとおり、
が主幹事になる回数が多く、2018年はいずれも20件前後のIPO主幹事を務めています。
ポイント2:主幹事だけでなく、幹事会社でもIPOを申し込もう
すでに書いたとおり、幹事会社からもIPOの申し込みを行いましょう。
主幹事よりも割当数は少ないのですが、当選するチャンスをできるだけ作ることが大切です。
そのため、幹事証券会社からの申し込みも、主幹事証券会社と併せて必ず行いましょう。
ちなみに、幹事証券会社でおすすめなのは、
- IPO取扱数が大手証券会社と肩を並べる「SBI証券」
- 幹事になることが多く、100%完全平等抽選を行っている「マネックス証券」
- ここ数年、幹事に力を入れていて、前受金不要かつ後期型抽選を行う「松井証券」
です。
ポイント3:実は狙い目!委託幹事会社&大手証券のグループ会社からの申し込み
主幹事証券会社や幹事証券会社からIPOに申し込んだ場合、どうしても競争が激しくなります。
主幹事となる大手証券会社は口座数が非常に多いため、必然的にライバルが多くなってしまうのです。
幹事の場合、中堅証券会社であればさすがに大手証券会社よりはライバルは少なくなります。
ですが、幹事として名前が出ている以上、普段その会社で取引しない人もIPOに参加する可能性が高くなります。
そんな中で狙い目なのが、委託幹事会社と大手証券のグループ会社です。
委託幹事については、IPOの幹事に名前が載らないケースがあります。
また、IPOの告知をひっそり行うこともあるようです。
そのため、気づかない人も多く、狙い目となります。
また、大手証券のグループ会社の場合、同じグループの大手証券会社が主幹事となったIPOが狙い目です。
なぜなら、割当数の一部が回ってくることがあるからです。
大手証券会社に比べて口座数も少ない分、ライバルも少ないと言えるでしょう。
なお、おすすめは、
です。
ポイント4:資金の少ない人の味方が「抽選後入金」の証券会社
証券会社によっては、IPOに申し込む際に前受金という事前入金が必要となるところもあります。
その場合、主幹事と幹事の全てから申し込もうとすると、結構な資金が必要になってしまいます。
抽選結果が出るまで資金拘束されてしまうため、資金の少ない人にとってはデメリットです。
通常の株式投資に回せる金額も少なくなってしまいます。
また、他のIPOへの申し込みもできなくなってしまうかもしれません。
少ない資金で効率的にIPOに申し込みたいのであれば、抽選後入金の会社から重点的に申し込みましょう。
主幹事と幹事の全てに申し込むのが資金的に厳しいため、主幹事以外は取捨選択する必要があるのです。
抽選後入金の会社を優先的に選ぶことで、少ない資金で複数の会社経由でIPOに申し込めます。
そうして資金が予想外に残るようであれば、そこで初めて前受金が必要な会社からも申し込みます。
なお、抽選後入金でおすすめなのが、
です。
このように、IPOの申し込みにはいくつかのポイントがあります。
ここまで紹介したポイントを押さえ、効率よくIPOに申し込みましょう。
さて、これらを考慮したIPOに強い証券会社にはどんなところがあるか、ということを見てみましょう。
初心者におすすめのIPOに強い証券会社ランキング
IPOには強い証券会社にはどんなところがあるでしょうか。
今回は、初心者でも当選を狙いやすい証券会社をいくつかピックアップしました。
ランキング1位:IPOの主幹事といえばここ!大手老舗証券「野村證券」
IPO主幹事として必ず押さえておきたいのが、言わずと知れた野村證券です。
歴史ある大手証券会社ということもあり、毎年多数の主幹事を務めています。
幹事になることには目もくれず、ひたすら主幹事にこだわる、まさに「ミスターIPO」ともいえる証券会社です。
そんな野村證券は、主幹事ということもあり、抽選に回る株数も多いのが特徴!
しかも、IPOに申し込む際の事前入金は不要です。
とにかく多くのIPOを手掛けているため、申し込みの機会が多いのが同社の魅力です。
その一方で難点ももちろんあります。
それは、大手証券会社ということもあって口座数が多いこと。
そのため、野村證券だけで申し込むことは避け、必ず他の幹事証券会社からも申込みましょう。
ランキング2位:近年急成長!主幹事と幹事を合わせて業界トップ「みずほ証券」
みずほフィナンシャルグループのみずほ証券は、近年IPOに力を入れている証券会社です。
大手証券会社ということもあり、主幹事になることもあります。
また、同社は幹事にも力を入れており、昨年は主幹事と幹事とを合わせて70社のIPOを取扱いました。
すでに書いたとおり同社は大手証券ですので、IPOの90%が対面顧客に配分されます。
残りの10%が抽選に回されるのですが、抽選方法は平等抽選です。
資金量の多さで当選確率が左右されることがないのがメリットと言えるでしょう。
一方で、同社は抽選時にIPOに必要な資金が必要となります。
抽選結果が判明するより以前に資金が必要となる点は、ややデメリットと言えるかもしれません。
ただ、すでに書いたとおり、同社はIPO取扱数が多く、主幹事になることもある会社です。
そのため、より多くのIPOに申し込む上で欠かせない会社であると言えます。
ランキング3位:主幹事数はネット証券随一!ネット証券最大手「SBI証券」
SBI証券の昨年の主幹事数は10社(TOKYO PRO Marketを除く)と大手証券会社以上の取り扱い数でした。
ネット証券の中では飛びぬけて幹事・主幹事になることが多い会社です。
通常の株取引でも、安価な手数料や使いやすい取引ツールなどバランスの良いサービスに定評があります。
そのため、普段の株取引の延長線上でIPO取引が行える会社と言ってよいでしょう。
SBI証券では配分の10%を抽選に回します。
また、一人一票制は採っていません。そのため、資金量が多ければ多いほど有利になります。
ただし、同社では「IPOチャレンジポイント」という独自の仕組みを採用しています。
「IPOチャレンジポイント」は、IPOの抽選に外れた回数に応じ、1ポイントずつ加算される仕組みです。
貯まったポイントは次回以降のIPOに使用でき、ポイントの数が多ければ多いほど、当選確率も上がります。
ネット証券最大手ということもあって口座数は多く、ライバルの多い会社ではあります。
ただ、IPOに挑戦できるチャンスは多く、申し込みを必ず行いたい会社の一つであるのは確かです。
資金が少なくても、何度も申し込むことでポイントを貯め、徐々に当選確率を上げられるのも魅力です。
ランキング4位:実は狙い目!岡三証券グループの「岡三オンライン証券」
岡三オンライン証券は岡三証券グループの証券会社です。
同社がIPOの主幹事になることはほとんどと言ってよいほどありません。
ただ、同じグループ会社の岡三証券は、準大手証券ということもあり、主幹事になることがあります。
また、岡三証券は幹事にもよくなる会社です。
そのため、岡三証券が幹事のIPOを、岡三オンライン証券が委託幹事として引き受けるケースがあります。
同社は2013年からIPOの取り扱いを始めたこともあり、IPO取扱数の多さがあまり知られていません。
口座数も大手証券や大手ネット証券に比べてかなり少なく、穴場の証券会社と言えるでしょう。
同社が取り扱うIPOには必ず申し込みたいところです。
ランキング5位:100%平等抽選といえばここ!ネット証券の「マネックス証券」
ネット証券のマネックス証券は、主幹事になることは稀ですが、委託を含めた幹事にはよくなる会社です。
2018年は50社のIPOを取扱っていることから、IPOに申し込むチャンスの多い会社であると言えます。
マネックス証券で特筆すべきは、100%平等抽選を行っていることです。
一人一票制で抽選するため、資金量の大小に関係なく当選確率は皆同じ、ということになります。
また、割当数のほぼ100%を抽選に回しています。
このような特徴から、マネックス証券はIPO初心者にとっておすすめの会社です。
ただし、口座数はネット証券の中では多く、ライバルが多いのはデメリットであると言えます。
それを差し引いても100%平等抽選は魅力的ですので、IPOの際には申し込みたい会社であると言えます。
ここまでおすすめの証券会社5社をランキング形式で紹介しました。
上で紹介した会社が取り扱うIPOに粘り強く申し込むことで、IPOに当選する可能性は上がるでしょう。
とはいえ、「それでもなかなか当たらない…」という人もいるかもしれません。
そんな人は、IPOのセカンダリー投資にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
IPO投資をするなら「セカンダリー投資」もおすすめ!なんと「無抽選で」IPO銘柄を取引できる!
IPOのセカンダリー投資とは、IPO銘柄が上場した後に取引する方法です。
「上場した後でも儲かるの?」と思う人もいるかもしれません。
実は、IPO銘柄の中には、上場した後に株価が上昇するものもあります。
そのような銘柄に投資して利益獲得を狙うのがセカンダリー投資の醍醐味なのです。
IPOになかなか当選しないからとあきらめるのはまだ早いです。
「セカンダリー投資はこんなものなんだ」と知るだけでも、利益獲得の機会は広がります。
筆者はファンド業務に携わり、様々な銘柄を取引しています。
その上で思うのは、株式投資で利益を出したいなら、取引の機会が多い方が良いということです。
なぜなら、相場は、IPO銘柄が上場したその瞬間だけ動くのではなく、その後も動いているからです。
常に動いている相場の「その先」を読み、その動きに乗ることで利益が出そうな銘柄を見つける。
これが株式投資の銘柄選びの基本です。
筆者は仕事柄、相場が動いている間は、その動きに合った銘柄を取引して利益獲得を狙わなければなりません。
その機会が運に左右されてしまうのが、IPOの最大のデメリットであると考えています。
一方、セカンダリー投資はそのデメリットがない分、取引の機会がぐっと増えます。
これこそがセカンダリー投資の大きなメリットであり魅力であると言えます。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、セカンダリー投資がどのようなものか、さっそく見てみましょう。
セカンダリー投資は無抽選!取引する証券会社は主幹事・幹事関係なし
既に書いたとおり、セカンダリー投資は上場後のIPO株を取引する方法です。
上場した後になるため、当然のことながら取引するのに抽選はありません。
資金と証券口座さえあれば、誰でも取引できます。
また、証券会社についても、主幹事や幹事でなければ買うことができないという縛りは一切ありません。
すでに上場してしまっているため、どこの証券会社からでも取引が可能です。
ですが、セカンダリー投資を行うには、銘柄選びに関しては少し慎重に行う必要があります。
次に、このことを説明します。
セカンダリー投資は銘柄選びにちょっとしたコツが必要
上場したIPO株全てがセカンダリー投資の対象になるかというと、そうではありません。
中には、「上場後に下がるだろう」と考えられる銘柄もあります。
そのため、上場後に上がっていく可能性の高いIPO株を選ぶ必要があります。
その選び方のコツについては、「【銘柄選びが重要】セカンダリー投資で勝ちやすい銘柄の特徴について解説」に詳しく書いていますので、チェックしてみて下さい。
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【銘柄選びが重要】セカンダリー投資で勝ちやすい銘柄の特徴について解説
抽選のないIPOのセカンダリー投資は、通常の株式投資と同様、誰でも取引できます。 そこで問題になるのが 「どんな銘柄に投資すれば良いの?」 ということ。 当然のことながら、IPOのセカンダリー投資はど ...
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セカンダリー投資の買い方は主に3種類
セカンダリー投資の買い方は、
- IPO銘柄を初値で買い、新規上場日の値上がりに乗って、その日のうちに売却する
- IPO銘柄を初値で買った後しばらくその銘柄を保有し、値上がりしたところで売却する
- IPO銘柄を初値ではなく、上場後に利益確定売りで下落したところを狙って買いを入れる。そして、ある程度の期間保有して値上がりを狙う
の3種類あります。
それぞれの買い方について、詳しく説明します。
買い方1:IPO銘柄を初値で買い、新規上場日の値上がりに乗って、その日のうちに売却する
この買い方は、「初値買い」といい、セカンダリー投資の中では最も知られている方法です。
初値を付けた後の株価の上昇に乗って、利益獲得を狙う投資法です。
これをセカンダリー投資であるとして紹介しているケースもあります。
方法としてはとてもシンプルで分かりやすい方法なのですが、欠点もあります。
それは、それほど値上がりしない場合もあるということです。
IPO銘柄は初値が公募価格を上回るケースが多く、中には、初値が公募価格の何倍にもなる銘柄もあります。
そのような銘柄は、初値がその日の最高値となることも多いです。
このような銘柄は、公募価格で買い初値売りをするのに向いていますが、セカンダリー投資には向きません。
初値で買ってしまうと、その後の株価は下がるばかりで損をします。
初値が公募価格の何倍にもなった銘柄は、利益確定売りに押され、株価がいつ下落してもおかしくありません。
また、初値を付けた後も急騰している銘柄についても同様です。
あまりに値上がりし過ぎると、利益確定売りが増えるだけでなく割高だと見なされて買い注文が入りにくくなります。
株価がどんどん上昇するようなら、早めに売って利益を確定させてしまいましょう。
買い方2:IPO銘柄を初値で買った後しばらくその銘柄を保有し、値上がりしたところで売却する
この方法は、初値が公募価格をあまり上回らなかったケースで有効な方法です。
ただし、このケースに当てはまる銘柄の全てが投資対象というわけではありません。
この方法で買う銘柄は、会社の内容がそれほど悪くないものに限ります。
このような銘柄は、会社の業績やビジネスモデル等には問題点はそれほど見つかりません。
それなのに初値が公募価格を少し上回る程度であれば、今後その銘柄が再評価されていく可能性があります。
その会社に対する評価が高まるにつれ、株価も少しずつ値上がりしていくことになるでしょう。
このような銘柄が、すぐに値上がりするケースは少ないです。
多くが、値上がりまでにある程度の時間がかかります。
そのため、長期的に保有することも考えておかなくてはいけません。
時間はかかりますが、もしかしたら、1年後にはその株価が初値の何倍にもなっているかもしれないのです。
長期的な投資になるので、時間が経つにつれてテクニカル分析も有効になります。
そうなると、利益確定ラインを見極めやすくなります。
このことも、この投資方法のメリットとであるといえます。
買い方3:IPO銘柄を初値ではなく、上場後に利益確定売りで下落したところを狙って買いを入れる。そして、ある程度の期間保有して値上がりを狙う
IPO銘柄を初値では買わず、価格が落ち着いてから買いを入れる方法です。
IPO銘柄は上場後いったん値下がりすることが多く、その下落のタイミングを狙って買い集めていきます。
IPO銘柄が初値を付けた後、利益確定の売りが集中するタイミングがあります。
売りが集中すると株価は下落するのですが、この時に何度か買いを入れるのです。
下落が止まり、トレンドが転換すれば、株価はまた上がっていきます。
ただし、利益確定売りで下落した銘柄全てが買いの対象になるかというと、そうではありません。
例えば、初値が公募価格から極端に乖離した銘柄は対象外です。
分かりやすく言えば、初値が公募価格の10倍近くまで上回るような銘柄です。
このような銘柄は、人気が集まりすぎて本来の評価額以上の価格がついてしまっています。
そのため、ほとぼりが冷めると株価は下落します。
その下落が一時的なものならいいのですが、このケースではそうはならないことが多いです。
初値が高くなりすぎた結果、株価の調整が続き、下落が長く続いてしまうのです。
このように、人気が集中しすぎた銘柄の場合、買いのタイミングはなかなか訪れません。
また、公募価格割れした銘柄についても、うかつに手を出さない方が良いでしょう。
狙い目となるのは、初値が公募価格から10%から20%程度値上がりした銘柄です。
ただし、前提条件として、会社の業績が良好でなくてはいけません。
きちんと会社の業績を見極めた上で投資しましょう。
この方法では、値下がりしたところで買い注文を入れます。
その後はしばらく保有しておくのがおすすめです。
時間が経つにつれ、テクニカル指標が有効になりますし、上場の翌日以降は信用取引ができるようになります。
セカンダリー投資の売り方は3種類
セカンダリー投資での売り方は、
- 新規上場日の値上がりに乗って、その日のうちに売却する
- 移動平均線を参考にして、値上がりしたところで売却する
- 本来の株価になったところで売却する
の3つのパターンがあります。
それぞれについて説明します。
売り方1:新規上場日の値上がりに乗って、その日のうちに売却する
新規上場日の値上がりに乗り、その日のうちに売却する方法です。
すぐに利益が得られるのが大きなメリットと言えます。
また、ポジションを持ち越さないため、翌日以降の値下がりリスクを避けられるのもこの方法の長所です。
ただ、新規上場日に思ったほど値上がりしない場合は、得られる利益が期待より小さくなってしまいます。
そうならないためには、新規上場日の板の様子を見てみましょう。
板に入った買い注文がどんどんなくなっていけば、取引が活発に行われていることになります。
基本的に株の取引は、午前9時以降の30分~1時間ほどの間に活発に行われます。
この間に新規ポジションを建て、そのまま売り抜けましょう。
もしも後場まで持ちたい場合は、取引終了前の15分ほどの間で売り抜けてしまいましょう。
後場はこの時間帯に売買が活発になる傾向が強いようです。
売り方2:移動平均線を参考にして、値上がりしたところで売却する
移動平均線を参考にして売り時を見つける方法です。
売買のポイントが視覚化され判りやすいというメリットがあります。
ただ、IPO銘柄は上場したばかりで、過去の売買の記録がありません。
移動平均線は過去の値動きを基にした指標ですので、きちんと表示されるまで少々時間がかかります。
さらに、売買の判断ができるレベルの精度になるまでに、数か月の期間が必要です。
そのため、数か月以上の保有を考えていない場合、移動平均線を売り時の判断材料にするのは無理があります。
売り方3:本来の株価になったところで売却する
本来の株価で売る方法です。
利益確定の目安となる株価が判り判断しやすいという特徴があります。
本来の株価は公募価格から考えます。
公募価格は市場で想定される評価額からディスカウントされています。
ディスカウントの割合は銘柄によりけりですが、20%~30%くらいのことが多いようです。
つまり、公募価格が1,500円であれば、市場では1,875円~2,142円くらいが妥当な価格ということになります。
例えば、公募価格が1,500円で、初値が1,600円となった銘柄があるとします。
会社の内容が悪くない場合、ここからまずは1,875円までの上昇余地があると考えられます。
そのため、株価が1,875円になった時、いったんポジションの半分を売って利益確定してしまいます。
そこからさらに値上がりするようであれば、次は2,142円で残りを売却します。
このように、この方法の場合は利益確定の目安となる株価が具体的であることがメリットです。
売り注文を出す時には、指値注文を使いましょう。
ただし、この方法がどんな銘柄にも使えるかというと、そうではありません。
例えば、初値が想定ディスカウントを超えてきた場合は、この売り方はできません。
また、本来の株価に到達する前に株価が下がってしまうこともあり得ます。
そのため、この方法を使うには、初値が公募価格からどの程度上回っているかをチェックする必要があります。
その割合がディスカウントの割合よりも小さければ、この方法が使えます。
買った後、時間をかけて上がっていき、テクニカル指標が効いてくるようであれば、併用すると良いでしょう。
特に、目標とする株価に到達する前に好決算などで株価上昇の材料が出た場合は、併用がおすすめです。より大きな利益の獲得が期待できます。
テクニカル指標と併用したいのであれば、数か月以上の長期投資を前提に考えましょう。
それよりも短期間で利益確定させたい人には、この方法は不向きです。
まとめ
今回はIPOでよく聞く主幹事について解説しました。
また、主幹事になる大手証券会社や幹事になる会社についても紹介しました。
IPO株は抽選に当選しなければ買うことができません。
そのためには、当選確率が上がる可能性の高い方法を採る必要があります。
当選確率を上げるためには、割当株数が多い主幹事への申し込みは必須です。
また、主幹事のみならず幹事への申し込みも併用する必要もあります。
IPO株を取引するには抽選に当選すれば良いだけなのですが、そのハードルが非常に高いのです。
資金がたくさんある場合は深く考える必要はありませんが、そうでない場合は戦略を練らなければなりません。
戦略を立てる上で、主幹事と幹事に関する基本的な知識や各社の特徴は必ず覚えておきたいところです。
資金と主幹事・幹事の特徴、各社の抽選スケジュールを勘案して戦略を立てましょう。
今回の記事がその一助になれば幸いです。