IPO投資で失敗したくない思いから
「IPOの公募割れの確率を知りたい。どれくらい?」
「IPOで公募割れはどんなときに起こるの?特徴を知りたい」
「万が一公募割れしたときどうすればいいの?もっと確実に運用するには?」
と気になりませんか?
筆者は業務で普段から数億円をトレードしています。
その経験からお伝えすると実はIPOで公募割れしそうな銘柄は事前に見分けられると考えています。
とはいえ、100%見抜けるわけではありません。
そのため、万が一公募割れした時の対処法に関しても、同時に解説します。
この記事では筆者の知識や経験から公募割れしそうなIPOの見分け方7つを全て紹介します。
これを押さえることで、IPOで公募割れしてもしっかり対処できるようになります。
それでは早速、IPOの公募割れについて見ていきましょう。
まずは、公募割れとはいったい何か、ということから確認していきます。
Contents
IPOの公募割れとは?わかりやすく解説
IPOでは、上場後の初値が公募価格を下回ったことを「公募割れ」と言います。
つまり、当選して公募価格で買っても、初値売りで損をしてしまうケースです。
しかし、IPOは初値売りで利益が出やすいと言われています。
それでは、公募割れは、いったいどのくらいの確率で起こるのでしょうか?また、公募割れした銘柄は、その後どうなるのでしょうか?
まずは、公募割れがどれくらいの確率で起こるのかということを説明します。
公募割れする確率は過去5年で8.7%~18.1%程度
「公募割れがどれくらいの確率で起こるのか」ということを知るには、過去のIPOの結果を見るのが一番です。
過去5年間のIPOの結果を確認してみましょう。
下記は2015年から2019年までのIPOの初値の結果です。(※この件数には機関投資家向け市場のTokyo ProMarket上場銘柄は含まれていません)
2019年に公募割れした確率
IPO件数 86社 初値>公募価格…75社 初値=公募価格…1社 初値<公募価格…9社(公募割れとなった割合10.5%)
2018年に公募割れした確率
IPO件数 90社 初値>公募価格…80社 初値=公募価格…1社 初値<公募価格…9社(公募割れとなった割合10.0%)
2017年に公募割れした確率
IPO件数 90社 初値>公募価格…82社 初値=公募価格…0社 初値<公募価格…8社(公募割れとなった割合8.9%)
2016年に公募割れした確率
IPO件数 83社 初値>公募価格…67社 初値=公募価格…1社 初値<公募価格…15社(公募割れとなった割合18.1%)
2015年に公募割れした確率
IPO件数 92社 初値>公募価格…82社 初値=公募価格…2社 初値<公募価格…8社(公募割れとなった割合8.7%)
直近の5年間では公募割れとなった割合は10%から20%程度だということが分かります。
ただし、上では紹介していませんが、例えばリーマン・ショック後の2010年のIPOの勝率は良くありません。
この年は欧州でギリシャショックが起こったのです。
そのため、景気はかなり冷え込んでおり、IPOの件数自体も全部で22件とかなり少なかったのです。
そのうち初値が公募価格割れをした銘柄は9社と40.9%もの会社が公募割れになったということです。
さらに、リーマンショックの起きた2008年のIPOはもっと良くありませんでした。
この年は49社が新規上場しましたが、そのうち26社が公募割れを起こしています。
つまり、この年は53.1%もの会社が公募割れを起こしているのです。
このことから分かるとおり、IPOで公募割れしやすいかどうかは、その時の景気動向にも左右されます。
景気が悪ければ、株式市場からは資金が逃げていき、債券などの安全資産の方が活況となるのです。
現政権になって以降、株式市場の活性化に力を入れていることから、株式市場は好調です。
株式市場が好調ということは、単純に考えれば、株の取引をする人が増えたということになります。
企業側はできるだけ多くの資金を集めたいわけですから、人の多い株式市場から資金を集めることを考えます。
それで、IPOが活況となるわけです。
そして、IPOの勝率が良いと分かれば、株式市場にはさらに人が増えます。
それと同時に、IPOで資金を集めたいと考える会社も増えるわけです。
ここまで、公募割れの確率について解説しました。
次に、公募割れしたIPO銘柄が、その後どうなったかということについて解説します。
公募割れした銘柄のその後の特徴
公募割れした銘柄がどうなったのか、気になる人もいるのではないでしょうか?
将来性があり内容も悪くないのに、単に知名度が低く公募割れとなったのなら、安値で買えることになります。
そういう銘柄を狙って取引したいと考えるのも無理はありません。
ですが、公募割れした銘柄の中には、その後も株価が低迷しているものもあります。
一方で、公募割れした後、株価が上場して公募価格を上回っているものもあります。
そこで、ここでは、メドレー(4480)とチャットワーク(4448)を比較してみます。
この2社は、どちらも公募割れを起こしているのです。
メドレーのケース
まずは、2019年12月12日に上場したメドレーから見てみましょう。
メドレーは公募価格が1,300円だったのに対し、初値は1,270円でした。
しかし、2020年3月13日の終値は1,495円と公募価格を上回っています。
なお、この時は、コロナショックで日本株が全面安となった影響を受けたことを勘案する必要があります。
ほとんどの銘柄が下がった中、同社自体には特段の理由がないのに、相場の地合いが悪く下がったのです。
なお、株価が全面安となる前、2020年2月25日のメドレー株は1,807円でした。
メドレーは医療ヘルスケア領域に特化した会社です。
医療・介護関連の求人サイト「ジョブメドレー」と医療プラットフォーム「CLINICS]「MEDLEY」を展開しています。
そんなメドレーですが、ベンチャーキャピタルが大株主に複数いました。
さらに、公開規模が202.5億円と東証マザーズ上場企業としては、大きかったのです。
このような事情から、公募割れする可能性が高かったのですが、予想通りそうなりました。
しかし、元来同社のビジネスは将来性が高く、主力の「ジョブメドレー」は高成長が期待されているのです。
医療・介護業界の人手不足は相当深刻なものになっています。
そんな中、成功報酬型かつ低価格戦略の同社には、競争力があると考えられたのです。
ただ、同社は積極投資をする会社のため、赤字のことが多いという問題がありました。
上場前の2017年12月期に営業黒字となったのですが、それは3,000万円程度でしかなかったのです。
ですが、2019年12月期に、同社は1.5億円の営業黒字を達成しました。
さらに、来期についても増収増益予想です。
来期の売上高は最低でも前期比38.5%増、営業利益は最低でも同115.5%増を計画しています。
これらのことが好感され、同社株は上昇しました。
次にチャットワークについて見てみましょう。
チャットワークのケース
同社は2019年9月24日に同じ東証マザーズに上場しています。
- ベンチャーキャピタルが大株主にいる
- 上場後、2019年12月期決算は黒字転換の予想
- 将来性の高さ
- 公開規模がマザーズにしては大きい(156.9億円)
- 公募よりも売出の方が多い
と、メドレーと同じような条件が揃っていました。
このような条件で上場したチャットワークは、すでに書いたように公募割れしています。
しかし、こちらはメドレーとは違い、株価が低迷したままです。
2019年12月期は増収営業黒字、かつ会社計画を大幅に上回る着地となっているにも関わらず、です。
同社は来期黒字予想です。
「全体の売上高が前期比30%増」「売上総利益が前期比40%増」としています。
ただ、営業利益以下の利益については「黒字を継続」とするだけで、具体的な数字を出していません。
このことが嫌気されたと考えられます。
公募割れした特徴とは?
このように、同じ公募割れでも、その後の株価の推移は異なります。
ポイントは、増収だけでなく増益を維持できるか、ということです。
さらに、単純な増益でなく、前期よりも上回る増益を維持できるか、ということもポイントとなります。
かつ、チャットワークのように具体的な数字を出さず、IRに対し消極的では、市場は評価しません。
株価を大きく上昇させたいのであれば、機関投資家の資金流入が必要になります。
なんせ、彼らの資金力は個人投資家の資金力とは比べものにならないほど大きいのです。
その資金が流入すれば、株価は大きく上昇します。
このようなポイントを抑えているかどうかが、公募割れした銘柄が上場後に上昇できるかどうかの分かれ目になると考えられるのです。
ここまで、公募割れの割合と公募割れした銘柄のその後について解説しました。
それでは次に、IPOの公募割れが起こる原因について解説します。
IPOの公募割れが起こる原因は不人気なこと
IPOの公募割れが起こる原因には様々なものがあります。
詳細についてはこの次の章で説明しますが、大きな原因としては「人気がない」ことが挙げられます。
人気がないから公募割れするのです。
IPO株には、通常の株式投資とは違う点がいくつかあります。
現物株のみ、抽選ありということもそうです。
ですが、もう一つ大きな点として、IPO株の人気・不人気を決定づけるポイントがあるということが挙げられます。
その結果、株価はほぼ需給で動くのです。
株の取引とはAKBの総選挙のようなものです。
AKBの総選挙は、人気のあるメンバーに票が集まり1位になるわけですが、株もそれと同じです。
人気を左右する理由として、AKBの場合、ファンへの対応やパフォーマンス、スキャンダルの有無等があります。
株もそれと同じで、将来性や実際の業績、会社の財務状況や資金繰り、他社との競争力等が人気を左右します。
つまり、株の場合はこれらの人気のポイントをより抑えている銘柄が上昇するわけです。
しかし、IPOの場合は独自の観点から初値>公募価格となるかどうかが決まります。
通常の株式投資の観点から見た時に、そのIPO株に人気となる要素が多くても、それだけでは不十分なのです。
IPO銘柄としてのポイントを押さえていなければ、不人気になってしまいます。
それでは、IPO投資で不人気となってしまう銘柄にはどんな特徴があるのでしょうか?
このことについて、次で詳細を解説します。
公募割れ銘柄の特徴は7個。初心者でも見分けられる方法とは
公募割れする銘柄のほとんどには、共通した特徴があります。
それは、
- 公募株より売出株の方が多い
- 市場の規模より吸収金額が大きい
- 再上場の銘柄
- 業績が増収増益基調になっていない
- 人気のない事業内容
- 公募価格が仮条件の上限価格を下回っている
- 大株主にベンチャーキャピタルがいる
の7つです。
どのような特徴があるのか、特徴ごとに解説していきます。
特徴1:公募株より売出株の方が多い
IPOで買うことのできる株には、公募株と売出株があります。
IPOの内訳として、公募株よりも売出株の方が多ければ、公募割れの可能性が高くなるのです。
公募株というのは、会社が事業拡大などを目的として市場に放出する株です。
しかし売出株は、上場前から株主が保有している株を市場に放出したものです。
売出株の目的は、既存株主の利益の獲得です。
一方、公募株は会社を成長させることを目的としています。
そのため、公募株よりも売出株の方が多い場合は、会社の成長のための上場とはみなされません。
そのせいで、公募割れしやすくなるのです。
特徴2:市場の規模より吸収金額が大きい
IPOに出てくる用語の中に、「吸収金額」というものがあります。
吸収金額とは、企業が市場から調達する資金額のことです。
この金額が市場の規模を上回っていると、公募割れする可能性があります。
なお、市場によって目安となる金額は異なります。
その金額は下記の通りです。
- 東証一部上場の場合…250億円前後
- 東証二部上場の場合…10億円前後
- 東証マザーズの場合…30億円前後
- ジャスダックの場合…20億円前後
ちなみに、吸収金額の目安は、
(新規発行株数+既存株主による売出株数)×公募価格
の式から算出できます。
この金額を上回る吸収金額であれば、そのIPOは市場にとってオーバースペックとなります。
そのせいで、公募割れになってしまうのです。
特徴3:再上場の銘柄
再上場の銘柄は、公募割れの可能性が高くなります。
IPOで上場する会社は、新規に上場する会社だけではありません。
一度上場廃止となって、再び上場する会社もあります。
再上場する会社に対しては、投資家の評価も厳しくなります。
再上場できるということは、悪化した業績が回復したということです。
しかし、そのことは投資家にとって評価のポイントにはなり得ません。
再上場の会社が高い評価を得るためには、それ以上の好材料が必要になるのです。
そのため、再上場する会社は公募割れしやすくなってしまいます。
特徴4:業績が増収増益基調になっていない
増収が続いていても減益予想の場合、市場の評価は厳しくなります。
また、増収が続いていても赤字続きの場合も、同様に市場の評価は厳しくなります。
それでも、赤字が縮小し、今期黒字化するという場合はプラス評価になります。
そうでない場合は、基本的にはマイナス評価になると覚えておきましょう。
なお、増収率と増益率については前期比2桁台が続いているものはプラス評価になります。
それまで2桁台の伸びが続いていたのに、今期は1桁台の伸びにしかならない場合は、マイナス評価です。
いずれにせよ、将来の業績が過去の実績よりも成長するかどうかが評価の分かれ目です。
今期予想が前期業績より悪いのなら、基本的にはマイナス評価となります。
そのため、公募割れする可能性が高くなると覚えておきましょう。
特徴5:人気のない事業内容
事業内容にも、公募割れしやすいものがあります。
同じIPOでも、事業内容によって人気は大きく分かれるからです。
例えば、不動産や食品、卸売りなどはあまり注目されません。
そのため、公募割れしやすい傾向にあります。
また、バイオベンチャーなども業績の見通しが立てにくいため、不人気です。
こういった事業内容のIPOは、公募割れしやすい傾向があります。
人気がある事業内容としては、今ならAIやキャッシュレス決済などです。
事業内容が旬のテーマに沿っている企業は、IPOにおける人気が高くなる傾向にあります。
また、旬に関係なく、IT系の会社は全般的に人気が高いです。
他にも、飲食関係の事業内容で、株主優待を実施している会社は人気があります。
さらに、競合がいない独自技術を持っている会社も根強い人気があります。
人気が高ければ高いほど、公募割れの可能性は低くなります。
事業内容が不人気だと、公募割れしやすくなるので、気を付けましょう。
特徴6:公募価格が仮条件の上限価格を下回っている
IPOでは、公募価格が決定される前に仮条件というものが決められます。
これは、1,000円~1,300円など、ある程度の値幅があります。
この場合、仮条件の上限は1,300円です。
IPOでは、ブックビルディングという需要予測に参加する必要があります。
その際、個人投資家はいくらの価格で何株購入したいのかを、この仮条件の範囲内で申告します。
公募価格は、その申告を基にして決定されるのです。
ブックビルディングとは、例えるならアンケートのようなものです。
仮条件の範囲の最高値で買いたい人が多いということは、人気がある、ということになります。
なぜなら「高くても良いから欲しい」という人が多いことを意味するからです。
一方、最高値未満の価格で買いたい人が多いということは、その反対を意味します。
なぜなら、「最高値では買いたくない」ということだからです。
買うにあたり、価格面で条件がある人が多い、ということになります。
つまり、「これくらいの価格なら買っても良いけど…」と、その銘柄を買うのに消極的な人が多いのです。
公募価格は、仮条件の上限よりも低くなることがあります。
その場合、そのIPOはあまり人気がありません。
つまり、公募割れの可能性が高くなるのです。
特徴7:大株主にベンチャーキャピタルがいる
ベンチャーキャピタルが大株主となっていると、投資家から避けられる傾向があります。
そのせいで、公募割れする可能性が高くなってしまいます。
なぜかというと、上場後にベンチャーキャピタルが持っている株を売却することがあるからです。
ベンチャーキャピタルは、未上場の会社の株を買います。
その代わりに、上場まで企業の業績拡大をサポートするのです。
サポートがうまくいき、その会社が上場したら保有している株を売却します。
そうして、投資利益を得るのです。
そのため、大株主にベンチャーキャピタルがいると、上場時にその株が売られる可能性が高まります。
もしそうなったら、上場後に大量の株が市場へと放出され、株価が下がりやすくなってしまうのです。
それを警戒して、投資家はIPOに申し込むのをためらいます。
結果、そのIPOは不人気になってしまうのです。
IPOが不人気になる、ということは、公募割れしやすくなることにつながります。
さて、ここまで公募割れしやすい銘柄の特徴について解説しました。
この7つの特徴に当てはまる部分が多いと、公募割れしやすい傾向にあります。
とはいえ、これらの特徴に当てはまる部分が少なくても、公募割れするケースがあるかもしれません。
可能性としては少ないですが、IPOに絶対はありません。
そこで、万が一公募割れした時の対処法についても押さえておく必要があります。
このことについて、次に説明します。
IPOが公募割れしたときの対処法4つ
では、せっかくIPOに参加したのに公募割れとなった場合は、すぐに対処する必要があります。
その方法は、
- すぐに売却し、ポジションを解消する
- しばらく保有し、株価の上昇を待つ
- 一部を売却し、残りを保有して株価の上昇を待つ
- すぐに売却してポジションを解消した後、押し目買いをする
の4つです。
それぞれについて説明します。
対処法1:すぐに売却し、ポジションを解消する
公募割れした時、まず考えるべきなのは損切りをすることです。
損切りをして、損失をそれ以上広げないようにすることは、投資においてとても大切なことなのです。
損切りをしないままだと、含み損はさらに大きくなる可能性があります。
そうなってから損切りをしても、後悔することになるでしょう。
それくらいなら、最初に損切りをし、他の銘柄に投資した方が良いのです。
筆者もファンド運用の際に損失を出すことがありますが、すぐの損切りを心がけています。
損失を最小限に抑えることが、最も安全性が高い対処法なのです。
株式投資は利益を出すために行いますが、そのためには損失のコントロールが欠かせません。
損失が出たら、迷わず損切りをし、気持ちを切り替えて違うところで利益を狙いましょう。
もちろん、中には公募割れから復活する銘柄もあります。
しかし、それに毎回賭けるのは、かなりリスクが高くなります。
それくらいなら、まずは損失を確定させてしまいましょう。
そして、その後上昇トレンドになったら、再び買い直すほうが確実です。
こうした損切りをできることが、勝てる投資家になるための第一歩です。
損失が大きく膨らむことがないように、ためらわず損切りをしましょう。
対処法2:しばらく保有し、株価の上昇を待つ
1つ目の対処法とは反対に、しばらく保有しておくという方法もあります。
先ほども言いましたが、公募割れしても後から復活するような銘柄もあります。
そのような銘柄であれば、有効な方法でしょう。
ただし、公募割れの後も、さらに株価が下がってしまう銘柄も、当然あります。
そのことを考えると、リスクが高いといえるかもしれません。
この方法は、
- 過去から現在の業績、および今後の業績見通しも悪くないのに、IPOでは注目されにくい事業内容の銘柄
- 前述した公募割れしやすい銘柄の7つの特徴のうち、当てはまる点が3つ以下の銘柄
に当てはまるような場合には有効です。
ただし、②の条件に関しては補足があります。
当てはまる条件が3つ以下でも、その中に業績が増収増益になっていない、という特徴が含まれている場合です。
その場合は、なかなか上昇しづらくなります。
ただし、業績が途中で増収増益に転じた場合は、上昇トレンドになるケースもあります。
この方法を行うには、ある程度の見極めや経験が必要になります。
そのため、初心者にはおすすめできません。
十分な投資経験を得てからにしましょう。
対処法3:一部を売却し、残りを保有して株価の上昇を待つ
IPOで複数口、つまり100株ではなく200株以上購入している場合に取れる対処法もあります。
それは、一部だけ売却して残りは保有しておくことです。
これは、対処法2のバリエーションの一つです。
しかし、この場合は、一部を売却して損失を確定させてしまいます。
そのうえで、残りを保有して株価が上昇するのを待つのです。
そうして利益を獲得しても、すでに確定した損失と相殺されてしまうかもしれません。
しかし、その場合でも損失をゼロにすることができます。
そして上手くいけば、利益を得ることも可能です。
いうなれば、損切りと利益を待つという方法の一挙両得を狙う方法なのです。
ただし、この方法もどんな銘柄でも通用するという訳ではありません。
2つめの対処法と同じ条件を満たす銘柄に対して、有効な方法です。
もしも、その条件を満たさない銘柄にこの対処法を行うのであれば、やめた方が良いでしょう。
かえって、含み損が大きくなる可能性が高くなります。
リスクも高いので、この方法も初心者にはあまりおすすめできません。
対処法4:すぐに売却してポジションを解消した後、押し目買いをする
公募割れした銘柄をすぐに売却して、その後、押し目買いをするという方法もあります。
公募割れした銘柄の中には、その後反転して値上がりする銘柄もあります。
そこから上昇が長く続き、公募価格を大幅に上回るケースも珍しくはありません。
その場合、1つめの対処法で損切りをしていると、「諦めずに持っているべきだった」と後悔するでしょう。
しかし、いったん売却してから徐々に押し目買いをすれば、価格上昇時には大きな利益を得られます。
さらに、公募割れした後に株価が下がるようなら、安値で買い増すことも可能です。
そうすれば、上昇したときに得られる利益は、さらに大きなものとなるでしょう。
この対処法も、2つめの対処法と同じ条件を満たしている銘柄に有効です。
それ以外の銘柄であれば、押し目買いをしても底を打つまでは損失が膨らんでいきます。
そのため、銘柄の見極めが重要になります。
さて、ここまでの話は、IPOのプライマリー投資の話がメインとなります。
実は、IPOには、上場後の値上がりを狙って取引するセカンダリー投資もあるのです。
最後に、公募割れした銘柄にセカンダリー投資を行っても利益を狙えるのかどうか、ということを説明します。
IPOで公募割れした銘柄はセカンダリー投資を避けるのが賢明
IPOでは、抽選で購入するプライマリー投資のほかに、上場後を狙うセカンダリー投資もあります。
公募割れした銘柄に対しても、セカンダリー投資を狙うべきか悩む人もいるでしょう。
しかし、公募割れの銘柄に対してはセカンダリー投資を避けた方が賢明です。
特に初心者の場合は、このような銘柄のセカンダリー投資を避けておきましょう。
なぜかというと、公募割れした銘柄はそこからさらに下落する可能性があるからです。
その場合は、底を打って下げ止まったら買うべきです。
それを見分けられるようになるまで、手を出さないようにしましょう。
たとえ公募割れしても、その後の業績が市場の期待を上回れば株価は上がります。
公募価格を超える株価になることもあるでしょう。
しかし、投資経験が少ないうちは、そのような銘柄を見分けることは困難です。
セカンダリー投資は、公募価格を若干上回った銘柄を狙いましょう。
その中から、内容が良い会社を選んでください。
セカンダリー投資の銘柄選びについては「【銘柄選びが重要】セカンダリー投資で勝ちやすい銘柄の特徴について解説」で詳しく解説しています。
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どうしても公募割れした銘柄を取引したいというのであれば、勉強しましょう。
公募割れから上昇する銘柄の特徴など、自分なりに傾向を把握しなくてはいけないのです。
ただし、具体的な傾向を理解するまでには、ある程度の時間がかかります。
そのため、即座に取引することはできないでしょう。
だからこそ、初心者のうちは公募割れの銘柄のセカンダリー投資には手を出さない方がいいのです。
まとめ
一口にIPOの勝率が高いとは言っても、100%ではありません。
公募割れになるIPOは、必ずあります。
そのようなIPOには、参加しないようにするのが一番です。
それを避けるためには、まずIPO銘柄の会社の特徴を確認してください。
公募割れする特徴を理解して、その会社が当てはまらないかどうか、確認してから参加しましょう。
もし、参加したIPOが公募割れになった場合は、速やかに対処法を決めましょう。
基本的には損切りをするのが一番ですが、他の方法も考えられます。
経験を積んでいけば、最も有効な対処法の判断ができるようになるでしょう。
それを意識して、IPOにチャレンジしてみてください。